農家がネット販売するのに「開業届」って必要? メリットと手続き方法は?【農家さんからのご質問】
2017/12/14
最近、複数の農家さんから
同じようなご質問をいただきましたので、
詳しくお答えします。
質問はこちら。↓
農家が農作物をインターネット販売するのに「開業届」って必要なんですか?
↑
開業届、こんな書類です。
別に販売事業に
こだわらなくてもいいんですが、
あなたは農業をする上で
「開業届」を出しておられますか?
農家さんにうかがうと、
意外と「出してない」という方が
多いですね。
「だって商売するわけじゃないし……、
農業って開業してることになるの??」
という声や、
「これまで出してこなかったけど、
別に何も言われてこなかったから」
という声も。
確かに農業って、
「開業」するってイメージ、
あんまりもてないですよね~~(^^;
農家に「開業届」って、必要なの……?
確かに開業届って、
意義が分かりづらいんですよね。
個人事業主として事業を興したり、
商売をしたりするために必要なもの……
というイメージがあるかもしれません。
私もこのお仕事
(農家さんの販売事業のサポート)
を始める上で、開業届を
税務署に提出しましたが、
手続きは拍子抜けするほど簡単というか、
「あ、これでいいんだ?」
といったような、あっさりしたものでした。
これは農業でもなんでもそうなんですが、
開業届は出さないと罰則があるわけではなく、
お呼びがかかるといったものでもないです。
(原則としては、
開業から1か月以内に出してね、
ということのようですが……)
でも農業をやっておられるなら、
開業届は出した方が何かとお得です。
というより、開業届を出すことで
可能になることが多くなる、
というイメージですね。
あなたがインターネットで販売をする上でも、
意外なところで求められ、
不自由な思いをされることがありますので、
ぜひ開業届は出しましょう。
下に、3つのメリットをあげてみます。
なぜ農家さんも「開業届」を出した方がいいのか? 主な3つのメリット
1.開業届が販売事業を展開する際に必要になることがある。
最近農家さんが、
通販を始められる際に
ご案内することが多い
ソニーペイメント。
クレジットカード決済の
代行会社です。
あなたも販売を
検討されているのであれば、
クレジットカード決済の導入は必須になります。
総務省の調査では、
平成27年末、69.2%のお客さんが
カードで決済を行っているそうです。
(リンク先10ページ目)
ホームページなどを
持たれるのであれば、
決済代行会社と契約し、
カード決済を導入しましょう。
ソニーペイメントは、
申込手続きの際に
「開業届」の提出を求めています。
なぜこんなことをするのか、
十分わかる気がしますね。
カード決済は信頼が大事です。
開業届を提出できる状態だということは、
手続きを行っている人が
きちんと事業を始めているんだという
認識があるということ。
あなたと取引をする会社側にとって、
開業届はあなたを信頼するための
資料となりうるということですね。
このように、あなたが
販売事業を始められるうえで
求められる場面がありますので、
開業届を出しておくと便利です。
2.開業届を出すと青色申告が可能になり、控除が受けられる。
個人事業主の
悩みの種でもある確定申告。
その年の所得が38万円をこえる人は
所得税の課税対象となりますので、
確定申告を行う必要があります。
(所得≠収入です。ご注意ください※)
あなたも農業を
やっておられるからには
確定申告をしておられるかもしれませんが、
青色申告をするには
開業届と青色申告の承認申請書を
出す必要があります。
青色申告は
税金の基準となる所得から、
最大65万円も控除できるという
魅力的な方法です。
たとえば所得が250万円あり、
社会保険料控除など
個人の事情を考えない場合、
白色申告者は、
250万円-38万円(基礎控除額)
=212万円が課税対象。
所得212万円は
税率10%(所得税の税率表)ですので、
212万円×0.1-97500円(税率に応じた控除額)
=114,500円
の支払義務が生じることになります。
(住民税も含めると、もっとかかります)
しかし、あなたが開業届を出し、
すべての青色申告に係る書類を提出すれば、
所得金額から特別に65万円が控除されます。
212万円ー65万円=147万円
となり、課税される
所得金額が下がるので、
おさめなければならない
税金も安くなるんです。
147万円×0.05(税率5%)
=73,500円
この場合は、
所得税だけで41,000円も
税金が安くなっていますね!
住民税はもっと差が出ます。
自治体や年によって変わりますが、
基礎控除額は33万円、
基本が10%+4000円なので、
白色の場合は221,000円。
青色の場合は156,000円なので、
ざっと65,000円の差が出ます。
あくまで社会保険料や
扶養・配偶者の控除など、
個人の家庭によって
変わるものを抜いた金額ですが、
白色にするか青色にするかで、
106,000円の税額の差が出ているのは
特筆すべきことではないかと思います。
所得が増えれば増えるほど、
通常この差は広がっていきます。
また、家族内で農業を
専らやっている方(専従者)に
給与を支払い、
その分を必要経費にするといった
手続きが可能になるので、
さらに税金は安くなります。
3.兼業の方にも朗報。青色申告では、赤字を申告して税金を節約できる!
うちは兼業で小規模だし、経費とか計算すると赤字だろうから……確定申告、しかも青色申告なんて必要ないんじゃない?
そう思われる方も
いらっしゃるかもしれません。
確定申告は大変な
イメージもありますしね。
でもあなたが兼業農家で
農業は小規模、
でもネット販売はやっていきたいと
思われるのであれば、
ぜひ開業届と、
青色申告の承認申請書を出して
青色申告に挑戦してみると
よいのではないでしょうか。
農業で事業を行う
(農協に出荷する、なども事業です)
ということであれば、
あなたの所得は事業所得です。
この場合、農業の所得が
たとえマイナスでも、
赤字を申告することで
本業の所得金額と相殺して、
払う税金を安くおさえられる可能性があります。
このような仕組みを
「損益通算(そんえきつうさん)」と言います。
青色申告は赤字を
3年まで繰り越すことができますので、
専業の方で販売事業の開始時に
経費がかかりすぎ、赤字になったとしても、
その分は翌年に繰り越せます。
つまり、ホームページの作成や
梱包資材・チラシの用意などに
お金がかかりすぎて赤字になったとしても、
ちゃんと青色申告をしていれば、
その赤字分は翌年に繰り越せるから
翌年の税金も安くなりますよということです。
【ご質問の答え】あなたが今後ネット販売などを通じて農業で稼いでいくなら、開業届を出した方がお得です。
ということで今回の結論ですが、あなたが農業で今後も稼ぎ、節税をしつつ収益を伸ばしていきたいなら、開業届は出した方がお得になります。
ただ開業届を出して大きなメリットが得られるのは、あくまでも青色申告をする場合。
青色申告は面倒だな、手間をかけてまで節税をする必要は感じないな、という方は、白色申告のままでもいいかもしれません。
ただ私は、しっかり会計処理を行うなどしてお金の動きに敏感になることは、これからの農業経営には必須になってくると思っています。
会計には、法律にもとづいた
会計処理(制度会計)だけでなく、
もうけるための会計(管理会計)があります。
この管理会計、
商品の値付けや販売に
ものすご~く便利なので
農家さんにはぜひ覚えて
いただきたいです。
これは白色申告のような
帳簿づけの感覚だと
あいまいな計算にしかなりませんが、
青色申告をしていれば、
かなり正確に数値を計算できます。
初めは難しいかもしれませんが、
農業でもうけたいなら、
チャレンジする価値はものすごくあります。
そのためにもまずは開業届、
出してみませんか?
注意:すでに農業や別の事業で開業届を出している場合は?
⇒この場合は開業届は必要ありません。
あなたの名義で、
すでに提出している事業の
開業届があるのなら、
ネット販売用に新たに
開業届を出す必要はありません。
ただ、たとえば名義を変える場合、
農業の主体は父親で、
新たな販売事業の主体は自分(仕入れを行う場合)
といったような場合には
新たに開業届が必要になりますね(^^)
開業届ってどこで出せるの? 手続きはたいへん?
開業届の手続きは、
かなり簡単です。
お近くの税務署の窓口に提出しましょう。
申請書は、お近くの
税務署で入手できます。
その場で書いて
帰ることもできますが、
印鑑を持参するのをお忘れなく。
事前に書きたい方のために、
国税庁のホームページでは
書式をダウンロードできます。
青色申告を始めるなら、もう一枚申請書を書いてください。
青色申告をするには
開業届に加えて、
青色申告承認申請書というものを
提出する必要があります。
こちらも同じように
税務署の窓口に提出してください。
ただしこれには期限があって、
青色申告をしたい年の3月15日までに
提出するようにしてください。
3月15日を過ぎると、
その年の青色申告を承認してもらえません。
開業届って、どう書けばいいの?
書き方はそれほど
迷われないと思いますが、
以下にいくつか、こう書けば
間違いはないかな、というのを
挙げておきます。
いちおう税務署で
確認してみてくださいね。
・職業……農業(仕入れの場合は販売業や小売業)
・屋号……〇〇農園など自由です。お店の特定商取引法表記とそろえましょう。決めていなければ無記入でOKです。
・届け出の区分……開業
・開業日……さかのぼってもいいですし、出される日付でもいいようです。
・所得の種類……事業(農業)所得
これまで開業届を出していなかった方でも後から出せます。
……これまで何年(十年以上)も
出してこなかったんだけど、大丈夫なの?
とご心配の方、大丈夫です。
開業届は後からでも
問題なく受理してもらえますよ(^^)
p.s. 【用語解説】「所得」と「収入」は違うの?
その年の所得が38万円をこえる人は
所得税の課税対象となりますので、
確定申告を行う必要があります。
(所得≠収入です。ご注意ください※)
文章中に
こんな記述をしたので、
混乱された方も
いらっしゃるかもしれません。
「所得」と「収入」は、
よく混同して使われていますが
税法上は別物です。
自営業者において
「収入」というのは、
売上を含む、入ってくる
すべてのお金のこと。
1年間分の収入を「年収」、
1年間のうちに
会社や個人が売り上げた
お金を「年商」と言います。
たとえば
「年商1億円の農家」というのは、
年間の売上高が1億円ってことで、
1億円まるまる手元に残り、
自由に使えるわけではありません。
実際には栽培や販売に
さまざまな経費がかかりますよね。
(人件費も経費です)
これら経費を
収入から引いたものを
「所得」といいます。
極端に言うと、
1億円売り上げて年商1億円でも、
1億円以上の経費がかかっていたら
所得はマイナスとなり、赤字ですね。
このような言葉の
違いを覚えることは
経営分析にも重要です。
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この記事を書いたのは
-
昭和61年1月12日生まれ
香川県高松市生まれで現在は東京都在住。
元小学校教員。(埼玉、島根)
現「株式会社たねをまく」代表取締役。
過疎化、新型コロナウイルス、燃料費高騰、後継者問題、価格の乱高下……
今、日々の生活の苦しい農家さんを救うのは
インターネット販売であることと考え、
ITの知識を生かして2015年に起業。
日本初の、農家さんに特化したネット販売アドバイザー。
新規就農の方や農家さんが、野菜や果物をインターネットで販売して利益を出す方法や考え方をお伝えし、「農業はもうからない」という常識をくつがえしたいと思って活動しています。
【農家さんの主なコンサルティング実績】
✅ネット通販を始めて、準備期間を含めて100日で売上2倍、2年目にはその4倍を実現した那覇マンゴー園様
✅人口300人の小さな島で、ネット通販で不安視されやすい野菜(玉ねぎ)の販売により、テレビなどのメディアの紹介を呼びこみ、ネットのみの売上が数百万円に。ブランド化に成功した津和地島だより様
✅「パソコンに触れるところから」と言っていた農家さんがスイカのネット通販を始めて、400玉を24分で完売⇒月商900万円を達成。1年目から2年目の売上が6倍になった、しあわせスイカ農園様
✅若い農家さんがネット通販を主軸に考えてあえて農園の規模を縮小し、単価を上げて効率的に利益倍増。例年1日以内にすべての商品が完売する、サカヤ農園様
✅加工品のネット通販を始めて、ホームページの開設直後から、売上を前年比5倍にされ、Xのフォロワー数も2.5万人をこえる、あったか野菜農園様
✅単価が安く、高値ではなかなか引き取られない白菜やナスなどの野菜を、YouTubeチャンネルでの情報発信を絡めた販売で、登録者数14万人ごえ⇒すぐに予定数完売まで到達した三和農園様
✅ゼロの状態からブルーベリーの観光農園を始めて、1年目から2年目にかけての来場者数を一気に8倍にされ、ネット通販と合わせて売上を伸ばし続けている、さわやかブルーベリーファーム市原様
✅農業のイメージの少ない世田谷区でチューリップを育てて販売し、わずか1年で売上を2.5倍に。キーワード「チューリップ農家」でも2位に到達した、せたがやチューリップ農園様
【主な講演実績】
✅愛知県岡崎市役所さまからのご依頼で、販路拡大セミナー講師としてぐるなび様とあわせて登壇。(参加者満足度97%)
✅千葉県千葉農業事務所さまからのご依頼で、販路拡大セミナー講師として登壇。
✅インテックス大阪で開催された関西農業Weekにて、農作物のネット販売について講演。(事前注目度2位&参加者満足度90%超)
✅幕張メッセで開催された農業Weekにて、農作物のネット販売について講演。(参加者満足度96%超)
✅福寿園様、祇園辻利様など、お茶の流通業者や生産者の集まる「宇治茶アカデミー」にてECサイトの運用方法について講演。(参加者満足度94%)
✅秋田県の若手農業者・新規就農者のみなさまに向けて、農作物のネット販売について講演。
✅JICAプロジェクトの一環で、インドのヒマーチャル・プラデーシュ州の農業局職員のみなさまへ、日本の農業の販路開拓の実際について講演。
✅福岡県の主催で、ふくおか農業トップランナーキャリアアップ講座に登壇。福岡県の女性農業者のみなさまに向けて講演。
✅その他、大阪、鳥取、埼玉、青森など日本全国からご依頼をいただいて講演中。
【書籍】
『メールもタイピングも苦手だった小さな農家さんが、農園の規模を変えずに、ネット販売準備開始から100日で売上を去年の2倍にした物語』を大手ネット書店Amazon様にて販売中。(高口のLINEに登録していただくと無料でお読みいただけます)
【記事掲載&メディア露出&協力】
✅NHK
✅マイナビ農業
✅FM COCOLO「僕らは海峡を渡る」
✅テレビ朝日系列「駅テレマルシェ」
✅YUIME JAPAN
✅成城大学プラントベースプロジェクト
【その他】
✅参議院議員会館で行われた「知のオリンピック」にて、弊社の取組を紹介したところ、3位入賞の栄誉をいただきました。
✅農家さんのお手伝いで、クラウドファンディング事業に参加。文章や写真撮影、宣伝など全面的にサポートし、350%の達成率で成功。
✅農家さんのための通販専門講座「ファーマーズメールオーダーアカデミー」を主宰。受講生165名突破。
インターネットの苦手な方でも、野菜や果物、お花のネット販売や観光農園づくりを一から学ぶことができ、年商1億円の農園クラスの超本格的なホームページを作って販売が楽しく始められるサービスを展開中。
北は北海道、南は沖縄県宮古島まで、
毎日全国からお問い合わせをいただき、
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